「鍵ってどんな種類があるのかな?」
「ウチの鍵、代えた方がイイかな?玄関の鍵の種類って何だっけ?」
とお考えの方に、鍵の種類についてご案内していきます。
主な鍵は18種類ありますが、玄関扉(開き戸、引き戸)で使われる6種類の鍵については、画像付きで分かりやすくご案内しています。
鍵の種類の前に…そもそも、「鍵」とは?
鍵(key)とは、主に玄関などの扉に取り付けられている錠(lock)を施錠・解錠する道具のことです。
錠(lock)は、玄関の外側にあるシリンダー(鍵穴含む)、玄関の内側にあるサムターン、扉内部の錠ケースなどの部品で構成されている部品です。
錠(lock)と鍵(key)がセットになった施錠・解錠の仕組みを錠前(lockset)といいます。
このページでご案内しているのは鍵(key)の種類です。
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鍵の種類は錠によって異なります。
主な錠の種類と鍵の種類、特徴を挙げます。
錠の種類 | 鍵の種類 | 特徴 |
---|---|---|
シリンダー錠 | 6種類 ・ディスクシリンダー ・ロータリーディスクシリンダー ・ピンシリンダー ・マグネットシリンダー ・ウェーブシリンダー ・ディンプルシリンダー | 主に玄関の扉に使われる (開き戸も引き戸も共通) ※現在の主流は防犯性の高いディンプルタイプ |
電子錠・電気錠 | ・リモコンキー ・タグキー ・カードキー ・指紋認証 ・暗証番号 ・スマートフォン | 主に玄関に使われ、鍵穴に鍵を刺さずに施錠・解錠する |
南京錠 | ・シリンダー式 ・ダイヤル式 ・暗証番号式(テンキー) | 巾着(きんちゃく)のような形をしており、持ち運びできる |
ウォード錠 | 専用の鍵(古い家具や南京錠など) | 鍵を差し込む内部に障害(ウォード)がある |
レバータンブラー錠 | 専用の鍵(古い倉庫や南京錠など) | 内部に板状の障害物(タンブラー)がある |
クレセント錠 | 窓用の錠で、鍵はつまみ・ハンドル | 回転させるパーツが三日月(クレセント)の形をしている |
ウォード錠は南京錠やカバン、アンティーク家具・輸入家具などに、レバータンブラー錠は古い机や自動ドア、南京錠、引き戸などに使われています。
これらは防犯性の観点から、玄関のドアに使われることはありません。
この後は、開き戸や引き戸などの玄関扉で使われる6種類のシリンダー錠の鍵についてご案内していきます。
玄関の鍵「6種類」を分かりやすく解説!
家の玄関扉が開き戸でも引き戸でも、錠(lock)を施錠・解錠するための鍵(key)をシリンダーに差し込んで使います。
シリンダーとは、錠のパーツの一つで、鍵穴と円筒状の部分を指します。
シリンダーは次のように6種類あり、その種類ごとに内部の構造・仕組みが違うため、使用する鍵の種類が異なります。
シリンダー名 | 鍵の種類・形状 |
---|---|
ディスクシリンダー | 鍵本体は上下の両面にギザギザ(山)がある |
ロータリーディスクシリンダー | 鍵本体は上下の両面にギザギザ(山)がある |
ピンシリンダー | 鍵本体は片面にギザギザ(山)がある |
マグネットシリンダー | 鍵の本体は平べったく、中心にくぼみが開いてる |
ウェーブシリンダー | 鍵本体に波型のくぼみがある |
ディンプルシリンダー(現在の主流) | 鍵本体には、大小のくぼみ(ディンプル)がある |
※玄関の鍵は、不正開錠の技術の進化とイタチごっこで改良されていくため、今後も種類は増えていくと考えられます。
鍵メーカー各社で、独自のブランド名・製品名を付けていますが、いずれもこの6種類に当てはまります。
それぞれご案内していきますね。
【鍵の種類①】ディスクシリンダー
ディスクシリンダーとはシリンダーの内部にU字型のディスクタンブラーという金具があるシリンダーのことです。
内部でディスクタンブラーが揃うと鍵を回せるようになり解錠できる仕組みです。
ウェハータンブラーとも呼ばれます。
鍵穴の形が「く」の字型ので、鍵本体は上下にギザギザ(山)があります。
【鍵の種類②】ロータリーディスクシリンダー
ロータリーディスクシリンダーは、内部に板状のタンブラー(金具)が入っているシリンダーのことです。
防犯性が低かったディスクシリンダータイプをピッキングされにくいように改良し、防犯性を高めているため、現在も廃盤となっていません。
解錠の仕組みはディスクシリンダーと同じです。
鍵本体はディスクシリンダーとほぼ同じで、両面にギザギザ(山)があります。
メインタンブラーの他にサイドタンブラーがある2WAYタイプもあります。
画像引用)美和ロック 総合カタログ P51
【鍵の種類③】ピンシリンダー(ピンタンブラー)
ピンシリンダー(ピンタンブラー)は、シリンダーの中に4~7本の棒状のピンという金具が入っているシリンダーのことです。
鍵本体は、片面にギザギザ(山)があります。
ピンが揃うと鍵を回せるようになり解錠できる仕組みです。
こちらの動画の00:39~で内部の仕組みを詳しく解説していますので、ご覧になってみてください。
こちらもピッキングに弱いため、防犯性は低いですが、鍵としての耐久性はあるので、屋外の物置などの鍵に使われています。
画像引用)GOAL総合カタログ P38
【鍵の種類④】マグネットシリンダー
マグネットシリンダーは内部にマグネットが埋め込まれていているシリンダーのことです。
鍵の本体は平べったく、中心にくぼみが開いていて、両側にはマグネットが埋め込まれています。
このシリンダー内部のマグネットと鍵のマグネットの磁力で回転し、ラインが揃うと鍵を回せるようになり解錠できる仕組みです。
美和ロック社がピッキング対策のために開発したのですが、専用の道具で磁石を合わされるようになり、現在は廃盤となっています。
磁力が衰えるというデメリットもあります。
画像引用)美和ロック 総合カタログ P274
【鍵の種類⑤】ウェーブシリンダー
ウェーブシリンダーはピッキング対策のために、内部が動かないようにサイドバーで固定する「サイドバー方式」を採用しているシリンダーです。
90年代にベンツやBMWなどの外車に使用された鍵を応用し、鍵メーカーのユーシンショーワが開発、LIXIL・TOSTEMの玄関の鍵などに使われるようになりました。
専用のウェーブキーを差し込むことで内部が動くようになることで解錠できる仕組みです。
鍵本体は波型のくぼみがあります。
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【鍵の種類⑥】ディンプルシリンダー(ディンプルキー)
ディンプルシリンダー(ディンプルキー)はピン数が10~18本、2~3方向から出ている内部の構造が複雑なシリンダーです。
鍵本体には、大小のくぼみ(ディンプル)があります。
解錠の仕組みはピンシリンダーと同じで、ラインが揃うと鍵を回せるようになるのですが、ピン数とピンの方向が違うためピッキングされづらく、防犯性が高いです。
現在、世界中に鍵メーカーは59社以上ありますが、玄関扉に使われるのは、防犯性が高いディンプルキーが主流です。
防犯性が高いとは、具体的には「鍵違い数」という鍵の防犯性の指標の1つがあるのですが、次のような差があります。
・ピンシリンダーの鍵違い数:100万通り~
・ディンプルシリンダーの鍵違い数:100億通り~
※約1万倍の差
異なる鍵を使用するパターン数のことで、数字が大きいほど防犯性が高い。「鍵通り数」ともいわれる。
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画像引用)GOAL総合カタログ P51
鍵の種類のまとめ
・錠前によって鍵の種類は異なる
・玄関に使われるシリンダー錠は6種類
・現在主流の鍵の種類はディンプルキー
錠前と錠、鍵のうち、鍵の種類についてご案内しました。
鍵の歴史は古く、財産などを守るために、その時代の技術とともに発展してきました。
玄関扉に使われる鍵は6種類ありますが、現在主流の鍵はディンプルキーという、防犯性の高い鍵です。
今後も不正開錠の技術の進化とイタチごっこで、鍵の種類が増えていくと考えられます。
ディスクシリンダーは、国内シェア60%の美和ロックが1957年(昭和32年)に開発し、1970年代(昭和45年~)から多くの一軒家やマンション、アパートの鍵として多く用いられました。
ですが、防犯性が低く不正開錠(ピッキングなど)されやすい鍵のため、2003年にピッキング防止法(特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律)が制定されてからは姿を消し、現在は廃盤となっています。